
バイオ科学株式会社が、ブリ、カンパチ、マダイなどのスズキ目魚類のワクチン接種時に使用する麻酔剤「バイオネンネ®」の販売を開始した。本麻酔剤はワクチン接種時に用いることで、魚体へのストレスを軽減し、作業者の安全性向上にもつながる。
本剤は国内で唯一の、2‐フェノキシエタノールを有効成分とした養殖魚向け麻酔剤。有効成分である2‐フェノキシエタノールの主要海産養殖魚に対する麻酔効果と安全性については、渡辺ら(*1)によっても報告されている。1分前後の短時間で魚は不動化され、海水に戻すと速やかに蘇生することから、生簀投入時の海鳥による食害も抑えられる。また、麻酔液表面の泡立ちがほとんどないので作業性も良い。これまで、2‐フェノキシエタノールは動物用医薬品としての承認がなされていなかったため、獣医師の指示に基づき例外的にしか使用できなかった。
バイオネンネ®は、必要な試験と審査を経て、動物用医薬品として国の承認を取得したもの。養殖業者自身が、動物用医薬品販売業者から購入し、用法および用量に従って使うことができる。具体的には、対象は体重約5g?1000gのスズキ目魚類、水温範囲の目安は19?27℃、海水1Lに対して本剤0.3mLの割合で混和したものに魚を浸漬する。2‐フェノキシエタノールは水にやや溶けにくいため、先に本剤を50倍の淡水または海水によく混合した後、さらに海水で希釈したものを麻酔液とするのが良い。
*1 渡辺研一ら(2006):主要海産養殖魚に対する2‐フェノキシエタノールの麻酔効果, 水産増殖, 54(3), 255-263.
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