鮮魚・活魚市況
2006年9月〜2006年10月

<協力>

中央魚類(株) 東京淡水魚卸協同組合 全国養鱒振興協会販売委員会
大阪魚市場(株) 大阪淡水魚貝(株)

 
関 東

<鮮魚類>(中央魚類(株)鮮魚部扱い)

 9月の鮮魚類(天然およ び養殖)は、数量で前年比89%、単価で同121%の608円、金額で同108%。このうち天然物の入荷量は前年比92%、平均単価は同120%の561 円、金額で同110%。サバとワラサを除き、主要魚種が軒並み数量減となった。養殖物は入荷量が前年比69%、単価が同141%の1124円、金額で同 97%。当月もカンパチ、ハマチ、マダイの主力3魚種が前年数量を大きく下回った。
 10月入り後も、前半は台風の影響などで低調な入荷だったが、第4週からメジ、サバ、ワラサ、イワシなどが潤沢に入荷するようなり、最終的に前年比96%程度の数量になったものと見られる。
 量販店筋は、引き続き粗利ベースで苦戦しているところが多く、実質的な売価アップにつながる売り方が模索されているという。

■養殖ハマチ
 9月の入荷量(野〆物と活〆物の合計)は前年比70%の74t、平均単価は同136%の850円(野〆物が842円、活〆物が890円)で、前月比では13円のダウン。
 天然のワラサ類が潤沢でモノも良いことが影響しており、10月26日時点では、4kgサイズ主体の野〆物が850〜700円中心、活〆物が900円中心で、弱保合。
 9月のフィレーの入荷量は8t(前年比80%)、平均単価は1654円(同130%)だった。
■養殖カンパチ
 9月の入荷量は前年比48%の60t、平均単価は同150%の1199円(野〆物が1141円、活〆物が1233円)。前月比では24円のダウン。10 月入り後は、瀬戸内産の本格出荷を控えて弱含みとなっており、10月26日時点では野〆物が1200〜1100円中心、活〆物が1300円中心。
■養殖マダイ
 活〆・野〆物の9月の入荷量は前年比78%の93t、平均単価は前年比142%の1023円(前月は978円)。対韓輸出が再び活気づいたことなどから浜値は強気配に。10月26日時点では野〆物が1100円中心、活〆物が1300円中心で、保合。
■養殖シマアジ
 活〆・野〆物の9月の入荷量は前年比163%の6.5t、平均単価は同94%の1316円(前月は1318円)。10月26日時点では1350〜1300円中心で弱保合。
■養殖スズキ
 9月の入荷量は前年比75%の3t、平均単価は同88%の1085円。10月26日時点では1100円中心。

<活魚・特種物>(中央魚類(株)特種部扱い)
 9月の活物関係は、養殖マダイ・カンパチ・ヒラメが引き続き大幅数量減の単価高。とりわけ、ヒラメのそれが顕著だった。また、シマアジは当月も大幅数量増でなお堅調。
■活マダイ
 9月の養殖活マダイの入荷量は前年比77%の61t弱、平均単価は前年比157%の1207円(前月は1085円)。対韓輸出の影響もあって、売れ筋の2〜1.8kgサイズに品薄感があり、他サイズも含めて強保合。
 一方、9月の天然活マダイは、入荷量が前年比102%、平均単価が同127%の3554円。良サイズが多く、好単価を呈した。
■活カンパチ(養殖) 
 9月の入荷量は前年比64%の26t強、平均単価は前年比143%の1375円(前月は1373円)。これまでの大口需要者の注文数も半減していたが、魚価の下方修正に伴い、11月以降は荷動きが回復してくる見通し。
■活シマアジ(養殖)
 9月の入荷量は前年比205%の12.5t強、平均単価は前年比109%の1578円(前月は1541円)。カンパチとの価格差は拡がりつつあるが、一昨年比でなお400円安いこともあり、10月後半時点でも荷動きは良好。
■活ヒラメ
 9月の養殖活ヒラメの入荷量は前年比49%の4t弱、平均単価は前年比142%の2405円。単価は前月比でも270円の大幅アップ。ほとんどが韓国産 だが、現地浜値の高騰により、集荷量を大幅に調整せざるを得ない状況。一方、9月の天然ヒラメは、入荷量―前年比117%、平均単価―同77%の3919 円。
■活ハマチ(養殖) 
 9月の入荷量は前年比63%の1t弱、平均単価は前年比120%の962円(前月は1005円)。
■活スズキ
 9月の入荷量は前年比123%の19t強、平均単価は同80%の1018円。上記は天然物が主体。
■活トラフグ
 9月の入荷量は前年比131%の3.3t弱、平均単価は同92%の3203円。すべて養殖物(大分産)。
■ホタテ
 9月は、ボイル物が入荷量―前年比143%、平均単価―同72%の635円。むき身貝柱(生) が入荷量―同204%、平均単価―同82%の2079円。殻付きが入荷量―同130%、平均単価―同85%の397円。
■エゾアワビ
 9月の入荷量は前年比82%の5.4t弱、平均単価は同102%の7736円。
■ウナギ・スッポン
 9月の活ウナギの入荷量は前年比69%、平均単価は同99%の2072円。活スッポンの入荷量は前年比98%、平均単価は同97%の2515円。
■活クルマエビ 
 築地全社の9月のクルマエビ総入荷量は前年比98%の43.1t。内訳は、国内養殖物が17.1t(前年比103%)、国内天然物が8.5t(同 155%)、輸入物は中国産養殖物主体(台湾の天然物も若干有り)に16.5t(同79%)。中国産は前年比で約5t減。中央魚類扱い分の9月の平均単価 は、国内物(養殖+天然)で前年比102%の4667円、輸入物が同99%の3510円。10月入り後、前半は厳しい相場展開がだったが、後半は小確り。
■ニジマス
【鮮魚】(全国養鱒振興協会販売委員会扱い)
 9月の富士養鱒漁協の扱い量は12.9t(前年対比81%)、平均単価は630円/kg(同119%)。
 サンマの大量入荷と大幅安等の影響を受け、出荷量は大きく落ち込んだが、釣り場向け需要が好調であったこと、また、産地在庫が少ないことから混乱は生じ なかった。9月の出荷量は前月を23%、前年を19%と大きく下回ったが、価格は前月からやや下げ程度に収まった。今後はカキの入荷も始まり、大変厳しい 状況が続くが、10月は価格維持を主体に計画している。
 富士養鱒漁協の10月の目標値は、数量13t、平均単価630円/kg。
【活魚】
 10月に入って、止水の釣り池もオープンし、台風被害が多少あったものの、活魚の荷動きは好調だった。10月はもともと活魚需要が高まる時期だが、「そ の中でも近年では良いほうだったのでは」と活魚関係者は話す。とは言え、池在庫の少なさは深刻で、小規模の活魚業者は魚を集めることもままならない状況に なっているようだ。
 配合飼料が値上がりする中、活魚価格を上げたいところだが、鮮魚相場が上がらないこともあり、コストアップ分の吸収にはこれから苦労が続きそうだ。
■ウナギ(東淡扱い他)
 9月の東淡扱い分の入荷量は236.8t(前年対比99%)、平均単価は1988円/kg(同143円ダウン)。
 8月に入って一気に相場を下げた活鰻は、9月入り後も売れ口が悪く、主産地・三河一色地区では数回の値下げを実施、9月下旬時点の池揚げ価格は、5P―1700円/kg、4P―1650円/kg、3P―1500円/kgとなった。
 オフシーズンを支えるのは加工需要だが、加工業者はこれまで高値に泣いてきたこともあり、一層の値下げを求める声も。しかし、生産者サイドとしては、魚 粉高騰に伴う配合飼料の値上げが大きく響いており、これ以上は下げたくないところ。10月中旬には再度の値下げが行われたが、「年末商戦を睨んで加工メー カーも本格的に動き始めた。需給バランスから考えても、活鰻価格は底を打ったのでは」とする関係者が多い。
 ただし、輸入物の動向次第でもある。8月以降、相場を下げ続けてきた台湾物と中国物は、9月に入って落ち着きを見せていたものの、10月には再び弱含み気配に転じている。輸入物の相場がずるずる下がるようだと、国内物も引きずられる可能性が高い。
■アユ
 中央魚類(株)特種部扱い分の9月の入荷量は前年比76%の11.7t、平均単価は同105%の1533円。

 
関 西

大阪魚市場(株)鮮魚第2課・第4課扱い分(9月)
  入荷量
(t)
前年対比
(%)
平均単価
(円/kg)
前年対比
(%)
コメント
養殖ハマチ 69.3 98 909 115

9月は高知・愛媛産などで、目廻りは約3kg、値幅は1150〜700円。9〜10月はほぼ横這い。11月以降は、下げ基調のカンパチと強含みのブリの狭間での動きに。

養殖ブリ 80.0 63 921 130

9月は愛媛・高知産などで、目廻りは約5kg、値幅は950〜850円。10月第4週時点では970〜950円中心。11月以降は鹿児島産主体に変わってサイズアップし、強含むと見られている。

養殖マダイ139.969 1,113 149

9月は香川・高知・和歌山・三重産など。目廻りは1.2kg、値幅は1400〜800円。浜値は9月後半に若干下げたが、それを受けて韓国向けの買いが増えたため、再び反発。10月第4週時点でも強含み。大型サイズが品薄気味なことも影響している。

養殖カンパチ 47.744 1,366162

9月は香川・愛媛・鹿児島産などで、目廻りは約3.5kg。値幅は1550〜800円と、前月より200〜300円下げた。10月第4週時点では1250円中心。年末に向けて瀬戸内物の水揚げが増えることから、相場はさらに下押すと見られている。

養殖ヒラマサ 2.6100 1,367144 9月はほとんどが香川産で、目廻りは3kg、値幅は1700〜1400円。10月入り後もほぼ横這いだが、今後はカンパチの値下がりの影響も。
養殖ヒラメ 77.072 2,149140

9月は韓国産が約7割を占め、国内は大分産主体。1〜0.8kgサイズ中心 で、値幅は2500〜1800円。例年だと下げ局面だが、今年は韓国(とくにソウル周辺)での荷動きが活発で、高値が続いている。11月中旬以降は、日本 国内の池揚げも増えるので下げに転じるだろうが、前年水準を下回ることはなさそう。

養殖シマアジ 13.1138 1,48898

9月は愛媛・熊本・和歌山産などで、中心サイズは約1kg、値幅は1700〜1200円。池在庫の底が見えてきているが、不需要期に向かうので、「差し引き、ほぼ横這いでは?」とのこと。

養殖トラフグ 12.180 3,157 121

9月はほとんどが愛媛産。中心サイズは1〜0.8kgで、値幅は3800〜2500円。今 期は供給がいくぶん細るのでは?との見通しから、前期より200〜300円高値でスタートしたが、まだ暖かい日が多く、荷動きはさっぱり。なお、10月の 入荷分のうち、中国産は15〜20%を占めそう。

養殖スズキ

-

-

-

-

 

 

2006年11月の見通し

(大阪魚市場(株)「ストラテジー情報」より)


●天然マダイ
 熊本、大分、兵庫(淡路)、和歌山方面からの入荷が中心となる。現在のところ昨年同様、例年よりやや少なめで推移しているが、冬場に向けて天候の影響も あり、入荷量はさらに減少してくる。相場は昨年並の見込み。11月の予想相場(kg当たり)は、3.0kgUP―4000〜1000円、2.5〜 1.5kg―7000〜1000円、1.0kg以下―4000〜800円。
●養殖マダイ
 愛媛主体の、高知、香川、三重方面からの入荷が中心となる。在池量が少なめなので新物が主体となり、中心サイズは1.2kg前後になりそう。また、和歌 山の1.0kg以下のサイズに関しても順調な入荷が見込まれる。年末を視野に入れた時期に入り、鍋シーズンにも入っていくことから需要は徐々に高まってく る。相場は昨年より強含みで推移しそう。予想相場は、2.0〜1.5kg―1500〜1100円、1.5〜1.3kg―1400〜1100円、1.2〜 1.0kg―1300〜1000円、1.0〜0.8kg―1300〜1000円。
●養殖ブリ
 10月に引き続き、鹿児島主体の一部愛媛からの入荷が中心となる。中心サイズは5.0〜4.0kgと昨年より小さめで、在池量も昨年より少なめで推移し ている。11月に入ると、各地ともフル出荷が始まるが、相場は昨年より強含みで推移すると思われる。予想相場は、〆物(6.0〜4.0kg)―950〜 850円、フィレー(7.0〜6.0kg4枚入)―1450〜1400円。
●養殖ハマチ
 瀬戸内(香川、徳島)方面中心の入荷となる。中心サイズは3.5〜3.0kgと昨年並で、相場も1000〜800円/kgと昨年並の見込み。
● 養殖ヒラメ
 韓国物を中心に、大分、愛媛方面からの入荷が中心となる。咋年より国内物の在庫がかなり減少しているが、韓国物は昨年並で推移している。入荷量は昨年 並、相場は昨年よりやや強含みの見込み。予想相場は、500gサイズ―2200〜1800円、600gサイズ―2500〜1800円、800gサイズ― 2800〜2000円、1.0kgサイズ―3200〜2200円。
●養殖フグ
 国内養殖物は、九州(熊本、長崎)、愛媛、和歌山、三重方面からの入荷が中心となる。在池量は、少なかった昨年並で推移しており、長梅雨の影響もあって 水温が上がらず成長も遅れている。入荷量は昨年より減少すると思われ、相場も昨年並もしくはやや強含みで推移しそう。中国物の生産量は昨年並だが、検査等 の要因で入荷は遅れており、場合によっては国内物の相場を高騰させる場面も。国内養殖物の予想相場は、600gサイズ―3800〜2800円、800gサ イズ―4800〜3200円、1.0kgサイズ―5000〜3800円。
● マグロ
【生鮮物】本マグロは、地中海の養殖物中心の入荷になる見込み。キハダは輸入物主体でインドネシア、台湾方面の入荷が中心となりそう。
【冷凍物】本マグロ、インドマグロとも脂物の入荷は少ない見込み。赤身のメバチ、キハダに関しても良品が少なく、数量も少ない見込み。




湊文社ホームページへ