15t/分の水が池全体に循環対流を起こし、自然の力で水質を浄化!
「水底活性耕水機 リプル25」
(株)アクアテックジャパン

  ウナギやクルマエビなどの養殖池は、一般的に換水率が低く、残餌や糞が底に堆積しやすい。水車を回すことでDO(溶存酸素)を維持する方法が主流だが、水 車では底から水面までの十分な水の対流をつくることは難しく、時間の経過とともに池底にはヘドロが溜まり、嫌気性のバクテリアも増えがちだ。

 こうした半止水的な養殖池において、これまでとはまったく違う発想に基づいて、池水に十分なDOを供給し、池底も好気性の分解微生物に変えていく製品があると聞き、(株)アクアテックジャパン(東京・東村山市、田中英男社長)を訪れた。

 同社が発売を開始した「水底活性耕水機 リプル25」は、 元・武蔵工業大学教授(物理学)の稲葉宏哉氏と同社が共同開発したもの(この装置の原理については、稲葉氏が[特許3360075号]を取得済み)。アク アテックジャパンは、首都圏における活魚の取扱いで有名な(株)ふいっしゅいんてりあの水処理事業部を分離独立した会社で、両社の社長を務める田中氏は、 エアレーション設備の専門家である。その田中社長がこの装置に出会い、「これまで様々なエアレーション機器を見てきたが、最も大きな衝撃を受けた。悪者扱 いされてきた窒素やリンなどのヘドロの成分を、プランクトンや微生物の重要な栄養源として、自然の浄化作用を利用し、DOも十分に供給しようというのが、 この装置の特徴だ。その上、消費電力はわずか25Wと、水車に比べて大幅に少ないので、光熱費を大きく削減できる。さらに作動音が静かなので、騒音に対す る苦情の心配もない」と話す。

 同装置の原理を簡潔に記す(写真と図参照)。

(1)直径1.8mの同装置(PP製)を、ロープやアンカーで固定し、水面に浮かべる。

(2)3方向に突き出たアーム(フロートの役目も担う)が、装置の中心を軸として6回転/分の速度で回転。このアームに付いているアルミ製の羽根が、水面近くの水を、装置の中心から外側へ放射状に水平方向に押し出す。

(3)装置から放射状に押し出される水量は15t/分で、その分、池底から装置に向かって水が上昇し、池全体に大きな循環対流が生まれる。

(4)上昇してきた水は、水面で酸素を取り込むと同時に、太陽光線により水中のプランクトンの光合成が活性化、さらに紫外線による殺菌効果が得られる。

(5)DOを十分に含んだ水は池底の嫌気性ヘドロに接触し、これに代わって好気性の分解微生物を増殖させ、水質が改善される。

  「水車を使い慣れていると、たったこれだけの装置で本当にDOが十分に供給されるのかと不安かもしれないが、その効果は実験で確かめられており、太鼓判を 押せる」と田中社長。実際、香川県内の養鰻池で実施された試験では、同装置1基(消費電力25W)を設置した実験区と、水車2基(同750W×2)を設置 した対照区の1年後の水質を調べたところ、BOD(mg/L)は実験区が2.2、対照区が3.0、COD(mg/L)は8.0と11、SS(mg/L)は 2と13、全窒素(mg/L)は0.52と0.84、全リン(mg/L)は0.14と0.33と、水質改善効果が得られている。

 同装置1基で、水深1mなら3000m2、1.5mなら1500m2、2mなら750m2の池をカバーできる。

 価格的にもリーズナブルなものとなっている。

 なお、同装置よりサイズが大きいものは、「バイオファン」の名称で発売されており、すでに全国の湖や貯水池などで利用され、水質浄化に貢献している。大型の「バイオファン」を駆使すれば、内湾の海面養殖漁場の水質を改善することも可能だという。

「リプル25」による水質浄化のメカニズム

 

 

■問い合わせ先
(株)アクアテックジャパン

〒189-0002
東京都東村山市青葉町1-10-17

TEL 042-392-5525
FAX 042-392-5801

http://www.aquatech-japan.com

 

 
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